並木の美しいファリーニ通りを駅の方に向かった。駅前のバスターミナルから、ラヴェナで最も楽しみにしていた目的地、Classe クラッセ という小さな村に行くためである。厳密にはその村はラヴェナ市内ではなく、バスで20分ほどの場所。 | 駅前のバスターミナルで、クラッセ行きのバスを待ったがなかなか来ず、30分以上待ってようやく来た。クラッセというところは、大平原の中の小さな村なので、バスの本数も少ないのだ。 |
ラヴェナを出てしばらく走ると、バスの車窓からはこんなにも広大なひまわり畑が広がっていた。 | その後、大平原の遠くにガイドブックの写真で見ていたあの Basilica di Sant'Apollinare in Classe サント・アポリナーレ聖堂 in クラッセが見えてきた。バスはこの聖堂から少し距離のある やや手前の停留所で停まったが、ここで降りるより、もう一つ先の停留所は聖堂のすぐ側にあるだろうと、そこでは降りなかった。ところが、そのバスは聖堂の横を通過して行き、また大平原のど真ん中を走り続けた。「え?!」と思い、怖くなってしまい、戻ることが出来るのだろうか、でも、どうやって?次の停留所で降りたとしても、大平原のど真ん中でいつ来るかもわからないバスをまた待つことになるのか、と色々な疑問や考えが頭の中をぐるぐると駆け巡った。バスの中には、他に乗客が 2人。いずれも高齢の方で観光客には見えず明らかにこのあたりに住む地元の人とわかった。これまでのイタリアでの経験から、彼らが英語などわかるはずがないことは容易に想像できた。たとえバスの運転手でさえ英語はわからないであろうと。さらに、この時点で夕方 6時半頃になっていた。あぁ、どうしようか、どうなるのだ、と殆どパニック状態に陥っていた。 バスはどんどんと大平原をさらに走り続け、やがてどこかの住宅地の中に入り、バスは停車した。運転手はエンジンまで止め、何の車内アナウンスも無くバスから降り、どこかに行ってしまった。車内は水を打ったように静まり返り、ただ鳥の囀りだけが聞こえていた。運転手は一体どこに行ってしまったのか、ここは一体どこなのだろう、と不安でいっぱいであった。この時点で自分以外誰もバスにはいなかった。バスを降りた方がいいのだろうか、それともここで待っているべきかと色々と頭の中で駆け巡ったが、このバスは来た通りの道を通ってまた戻って行くに違いないと祈り、座席にそのまま座っていた。ただ、時間も遅かったし、戻れたとしても、戻った時には既に サント・アポリナーレ聖堂 in クラッセは閉まっているのではなかろうかとの心配もあった。 バスの運転手は何食わぬ顔で戻って来てエンジンをかけた。この運転手が英語がわかるとは期待していなかったが、バスが走り出す前に、ダメもとで運転手の方に近づいて行き、サント・アポリナーレ聖堂 in クラッセに行くかと尋ねた。すると、運転手は何も言わずただ縦に頷いた。少しだけ安心し、とにかくなんとかサント・アポリナーレ聖堂 in クラッセが閉まる前に着ければと願うのみであった。 |
バスは暫くまた大平原を走り続け、遠くにサント・アポリナーレ聖堂 in クラッセの姿が現れ始めた。最初に見たときよりもうれしくホッとし、また今度は降りる停留所に注意を払った。 | サント・アポリナーレ聖堂 in クラッセを訪れるのに、こんなに時間がかかってしまうとは思ってもおらず。 これは、サント・アポリナーレ聖堂 in クラッセの裏側。 |
入口の方に向かって急いだ。 |
着くとすぐにチケットを販売しているギフトショップに向かい、何時に閉まるのかを聞いた。店員は「 7時 」と、まるでここに辿り着くまでの僕の道中を全て見ていたかのように笑って答えた。かろうじて間に合い、やっとホッとした。 |